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8 肝膿瘍

化膿性肝膿瘍の原因・起因菌

胆道系の基礎疾患を有する患者での経胆道性感染が半数以上を占め,起因菌も胆道感染と類似する.

胆道疾患や悪性疾患の既往や,Murphy徴候があれば経胆道感染の可能性が高い.

それ以外では消化管などからの経門脈性と,肝細胞癌に対する塞栓術による経肝動脈性が多く,後者ではグラム陽性球菌が多いことに注意する.免疫抑制状態ではCandidaも考える.

K. pneumoniaeは糖尿病患者に多く血行性散布するため,眼内炎などを高頻度に起こす.充実性病変であることが多く,エコーなどにて腫瘍と間違われやすく注意を要する.

ガス産生性肝膿瘍は糖尿病との関連が強い.この場合もK. pneumoniaeが起因菌であることが多い.

経胆道感染の予測

分離菌頻度は腸内細菌群・腸球菌が多く,嫌気性菌・緑膿菌・連鎖球菌・ブドウ球菌などが続く.ただし処置歴のない経胆道感染では嫌気性菌関与は少ないとされる.


K. pneumoniaeによる肝膿瘍

K. pneumoniaeによる肝膿瘍は特にアジアでは50%を占め,他地域の27%よりも多い〔Clin Infect Dis. 2004 Dec 1; 39(11): 1654-9〕.

▶経胆道感染では大腸菌や嫌気性菌などの混合感染も多いが,K. pneumoniae単独の場合,原発性(おそらく血行性)もありうる.

化膿性肝膿瘍の症候

発熱・右季肋部痛(肝叩打痛)を高頻度に認める.

嘔気・下痢の他に呼吸器症状も見られうるが黄疸はあまり見られない.

化膿性肝膿瘍の検査

血液検査では炎症所見とALP上昇が高頻度に見られるが,肝細胞障害を認めない症例もある.

血液培養は半数以上で陽性となる.

画像検査では腹部エコーもしくは造影腹部CTの検出感度が高い.

アメーバ性肝膿瘍

壮年男性に多く,半年以内の海外渡航歴と,性交渉歴(HIV感染症

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