診療支援
診断

9 胆石・胆道感染

胆石の頻度・リスク

胆石は検診のおおよそ1割で見つかる.

4F(female,forty,fertile,fat)がリスクだが,これにとらわれすぎてはならない.特に肥満だけでなく減量も胆石症のリスクである.

日本人での無症候性胆石の頻度は2.6-18.9%〔外科治療.1991; 64: 818-23〕という報告がある.

日本人での男女比は1:1.2程度で性差は大きくはない.胆囊胆石症は20歳代から見られ始め,40-60歳代に多い(胆囊胆石症の平均年齢は56.3±13.6歳,総胆管結石症の平均年齢は66.9±14.4歳)ことが報告されている〔胆道.1998; 12: 276-93〕.

fat(肥満)は胆石症や胆囊炎のリスクを3-4倍にするが〔Am J Gastroenterol. 2003 May; 98(5): 1032-41〕,逆に急激な体重減少も胆囊結石のリスク〔Am J Med. 1995 Feb; 98(2): 115-7〕とされるのは興味深い.

小児~若年者の胆石症では薬剤性(セフトリアキソン)や,遺伝性球状赤血球症などの溶血性貧血も考える必要がある.

▶日本では先天性溶血性貧血の70%が遺伝性球状赤血球症で,罹患率は5-20例/100万人と推定されている〔日本臨牀.1996;54(9):2478-83〕.

▶遺伝性球状赤血球症の39%が13歳までに胆囊結石を有するようになる〔J Pediatr Hematol Oncol. 2003 Dec; 25(12): 952-4〕.

胆石発作・合併症

無症候性胆石患者の1/4の症例では10年以内に胆石発作を経験する.胆石発作の既往がある場合はさらに高率となる.

胆石発作は右季肋部の疝痛ではなく,心窩部持続痛のことも多い.

背部への放散痛は消化管疾患との鑑別に有用である.

無症候性の胆石保有患者が,重篤な症状を呈するのは年間1

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?