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14 慢性膵炎

慢性膵炎の原因

大酒家で急性膵炎の既往が複数回ある男性喫煙者に多い.

日本での患者数は7,000-10,000人と推定され,80%が男性と考えられている.

アルコール性が慢性膵炎の原因の70%を占め,特発性が25%,稀な原因が5%とされる〔Swiss Med Wkly. 2006 Mar 18; 136(11-12): 166-74〕.

アルコール性急性膵炎の再発率は年に5.3%と胆石性(1.5%)や特発性(0.6%)よりも高い.この532例を解析した報告では慢性膵炎となったのはアルコール性のみであり,10年で13%,20年で16%の発症率であった.2回の急性膵炎発作があれば2年で38%が慢性膵炎となる〔Am J Gastroenterol. 2009 Nov; 104(11): 2797-805〕.

喫煙は慢性膵炎のリスク〔Gut. 2005 Apr; 54(4): 510-4〕である.

慢性膵炎の徴候

慢性の腹痛・背部痛を年に数回繰り返し,10年前後の経過で徐々に疼痛は軽減し,非代償性となるのが典型的である.

発症から5-10年ほどで膵外分泌機能不全として吸収不良・脂肪便が見られるようになる.

さらに進行すると,糖尿病が発症する.

頻度は高くないが,脾静脈や門脈の血栓症による胃静脈瘤や,脾動脈などの仮性動脈瘤からの出血は消化管出血・腹腔内出血から致死的となることがある.

慢性膵炎ではグルカゴンの分泌能も低下するためにインスリン分泌能低下の割には糖尿病を発症しにくいが,発症すると低血糖発作も起こしやすい.

慢性膵炎の検査

他の疾患を除外できることから造影CTが初期検査として有用であるが,画像検査ではERCPが診断特性に最も優れる検査である.侵襲性の低さからMRCPがERCPの代用として期待されている.

外分泌能検査ではBT-PABA試験が簡便であるが診断特性は高いものではな

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