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診断

15 膵癌

膵癌の症候

膵頭部癌の場合は黄疸が比較的早期に出現するが,膵体尾部癌では疼痛・体重減少での受診が多い.

他には瘙痒感や,膵機能障害を示唆する下痢(脂肪便),新たな耐糖能異常があれば膵癌を疑う.

膵内分泌腫瘍ではさまざまな特徴的な症候を呈しうる.

身体所見では無痛性胆囊腫大(Courvoisier徴候),Virchowリンパ節,再発性の表在静脈炎(Trousseau徴候)や脂肪織炎があれば有用だが,感度は低い.

膵癌・胆道癌の胆石との鑑別

膵内分泌腫瘍

無痛性胆囊腫大(Courvoisier徴候)は感度26-55%,特異度83-90%〔Am Fam Physician. 2006 Feb 1; 73(3): 485-92〕とされる.

3年以内に糖尿病を発症した群(13.9%)では3年以上前に糖尿病を発症した群(2.0%)よりも膵癌が多い〔Cancer. 2002 May 1; 94(9): 2344-9〕.

膵癌の画像検査

腹部エコーが初期検査として推奨される.描出が不良であればダイナミック造影CTを行う.

これらの検査にて膵癌が疑われれば,MRCPも行う.

小病変に関してはPETの感度が高い.

後期相で均一な造影を受ける腫瘤や遠位主膵管の拡張を認めない膵腫瘤は腫瘤形成性膵炎を考える.低濃度な被膜様辺縁やduct penetrating sign(主膵管が腫瘤内を貫通する)があれば特徴的である.

膵癌の検出における各検査の役割

▶腹部エコーは腸管ガスのため描出不良なことも多いが,膵全体の描出が良好であれば診断特性は良い.

膵癌の画像検査

膵腫瘤形成性膵炎の診断(膵癌との鑑別)

▶自己免疫性膵炎の一部は腫瘤を形成し膵癌との鑑別が重要となる.

膵癌の腫瘍マーカー

CA19-9とSpan-1の感度が高いがそれでも初期には陽性率は低い.前者は良性胆道疾患・卵巣囊腫・気管支拡張症・

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