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2 心音・心雑音へのアプローチ

収縮期雑音

小児(2-18歳)では器質的疾患がなくてもⅢ音や楽音様のStill(無害性)雑音が聴取されることが多い.

心室性期外収縮や心房細動で心雑音に変化があれば駆出性雑音と考える.逆流性雑音は汎収縮期雑音となり,Ⅱ音が分かりにくくなる.

収縮期駆出性雑音であれば機能性雑音であることが多いが,Levine Ⅲ/Ⅵ以上の心雑音や大動脈弁狭窄症・心房中隔欠損症などに特徴的な心雑音の場合や心電図異常がある場合は心エコー検査が必要である.

汎収縮期雑音ならば僧帽弁閉鎖不全症をまず考えるが,三尖弁閉鎖不全症,心室中隔欠損症もありうる.

収縮期雑音における機能性雑音

▶収縮期雑音は小児80%,成人で52%,高齢者の29-60%で認めるが,44-100%では機能性雑音〔JAMA. 1997; 277(7): 564-71〕である.50歳以上の50%に認めることから50-50 murmurともいわれる.

▶器質的疾患による収縮期雑音の鑑別において,聴診を含む身体所見は感度82(70-86)%,特異度69(60-76)%という報告〔Am J Emerg Med. 2004 Mar; 22(2): 71-5〕や,感度70%,特異度98%という報告〔Am J Cardiol. 1996 Jun 15; 77(15): 1327-31〕がある.

▶50歳未満でLevine Ⅱ/Ⅵ以下の収縮期雑音であれば98%で機能性雑音であるが,Levine Ⅲ/Ⅵ以上の収縮期雑音はOR=8.3(3.5-19.7),心電図異常はOR=8.4(3.2-22)で器質的疾患を示唆する〔Am J Emerg Med. 2004 Mar; 22(2): 71-5〕.


小児の心雑音

▶Ⅲ音の86%は立位で消失する.

▶Still雑音(無害性雑音)

□胸骨左縁(62%),胸骨左縁〜心尖部(17%),心尖部(11%)に最強点があり,99

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