冠攣縮性狭心症の疫学
●欧米人と比較して日本人で多く,狭心症の40%を占める.
●中高年男性に多いが,若年者にも見られる.
●喫煙は冠攣縮性狭心症のリスク要因である.
●狭心症の40.9%が冠攣縮性狭心症であり,器質的な狭窄を伴う狭心症よりも若年発症が多い傾向がある〔厚生労働省循環器病委託研究費 虚血性心疾患における冠攣縮の役割に関する研究 平成12年度 研究報告書〕.
●年齢と冠攣縮性狭心症(日本人でのデータ)
●喫煙
▶喫煙はOR=2.41(1.53-3.82)であり有意なリスク要因であるが,脂質異常・高血圧・糖尿病・肥満はリスク要因ではない.冠攣縮性狭心症の91%が喫煙者である〔Circulation. 1993 Jan; 87(1): 76-9〕.
●女性の冠攣縮性狭心症
▶冠攣縮性狭心症の13%が女性である.女性では喫煙者が少なく(女性15%vs男性85%),血管造影では器質的な狭窄が少なく(12%vs 33%),びまん性の攣縮を認めることが多い(69%vs 36%)〔Jpn Circ J. 2000 Jun; 64(6): 416-20〕.
冠攣縮性狭心症の病歴
●夜間から早朝に発作が起こることが多い.
●安静時に起こることが多いが,労作時に誘発されることもある.
●飲酒や過換気により発作が誘発されることがある.
●古典的な狭心痛と同様な疼痛を認めるが,持続時間が数十分と長いことがある.
●発作時に硝酸薬の使用は効果があり,Ca拮抗薬は予防に有用である.
●硝酸薬により速やかに消失する狭心症様発作で,以下の5つの項目のうち1つでもあれば冠攣縮性狭心症と考えられる〔J Cardiol. 2008 Feb; 51(1): 2-17〕.
1.特に夜間から早朝にかけて,安静時に出現する.
2.運動耐容能の著明な日内変動が認められる(特に早朝の運動能の低下).
3.発作時の心電図でST上昇が認められる.
4.