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6 心囊水貯留・心外膜炎

心囊水貯留の原因

10mm以下の心囊水貯留は心不全をはじめとする心疾患でよく見られる.

10mm以上の心囊水貯留は特発性(一部はウイルス性心膜炎)が1/3を占める.医原性疾患,悪性腫瘍,心筋梗塞後,尿毒症,膠原病,結核,甲状腺機能低下症で半数を占める.

血性心囊水は医原性,悪性腫瘍,心筋梗塞後の頻度が高いが,心囊水を呈する疾患であればいかなる原因でもありうる.

正常での心囊水は15-35mL程度とされる.100mLの心囊水でも急激に貯留すれば心タンポナーデを起こしうるが,慢性の経過では250mL程度で症状が出現し,中には1,500mL以上でも心タンポナーデは来さなかったという症例もある〔Am Heart J. 1988 Feb; 115(2): 391-8〕.

血性心囊水は尿毒症や甲状腺機能低下症などでも見られるため,血性というだけでは鑑別に重要ではない(Chest. 1997; 111: 1213-21).

心囊水貯留の胸部X線・心電図

中等量の心囊水貯留にて胸部X線では巾着型の心拡大が見られうる.心膜脂肪線条が特異的な所見として重要であるが,感度は低い.

心電図では胸部誘導でのQRSの低電位(P波の低電位は認めない)やPR低下が見られるが,これらの感度は低い.電気的交互脈の診断特性は低い.

胸部X線

▶おおよそ250mLは貯留しないと単純X線写真での検出は難しいとされる.

▶心膜脂肪線条

□正面胸部X線で41%,側面像で23%,両者いずれかで52%に見られる〔Radiology. 1980 Nov; 137(2): 303-8〕.

□側面像は立位ではなく仰臥位とすると感度は31%から51%に向上する〔JAMA. 1987 Jun 19; 257(23): 3266-8〕.

▶気管支角は開大し,左房拡大と間違われることもある〔AJR Am J Roentgenol. 1982 N

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