心タンポナーデと収縮性心膜炎
●心囊水が貯留することで起こる心タンポナーデ,心外膜が硬くなる収縮性心膜炎はpericardial compressive syndromeと呼ばれ類似点が多い.
●血行動態学的に異なる点として心タンポナーデでは奇脈が,収縮性心膜炎ではKussmaul徴候がより高頻度に認められる.
●両者の類似点としては心筋拡張障害が目立つが収縮能は保たれること,心室間相互作用(ventricular interaction)が顕著であること,頸静脈怒張が見られることである.
●心タンポナーデでは吸気で静脈還流量が増えるために右心系が左心系を圧排し心拍出量が著明に低下し奇脈を呈しやすい.
●収縮性心膜炎では硬化した心外膜で制限されているため静脈還流量は呼吸にかかわらず一定であるためにKussmaul徴候を呈する.なお収縮性心膜炎でも肺静脈圧が吸気で低下するために左室流入量が減少し,心拍