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8 急性心筋炎

心筋炎の疫学

劇症型心筋炎は心臓性突然死の原因として重要である.

慢性期には拡張型心筋症の一因としても重要である.

原因としてはウイルス性が多いと推測されている.小児ではアデノウイルス,成人ではコクサッキーウイルスB型,冬季にはインフルエンザウイルスが重要である.

剖検では0.15-0.6%で心筋炎の所見を認める〔Jpn Circ J. 1989 Jan; 53(1): 40-8/J Clin Pathol. 2000 Feb; 53(2): 147-9〕.

若年成人における心臓性突然死の8.6-12%が心筋炎である〔Heart. 2006 Mar; 92(3): 316-20/Med J Aust. 2004 Feb 2; 180(3): 110-2〕.

急性ウイルス性心筋炎後に拡張型心筋症が12%で生じる.原因不明の慢性心不全のうち14%〔West J Med. 1989 Apr; 150(4): 431-5〕,拡張型心筋症の9%〔Medicine(Baltimore). 1999 Jul; 78(4): 270-83〕で心筋炎が原因とされる.

原因となる病原体にはコクサッキーA・B群ウイルス,アデノウイルス,インフルエンザウイルス,HSV,CMV,VZV,EBV,ムンプスウイルス,風疹ウイルス,麻疹ウイルス,狂犬病ウイルス,コロナウイルス,HBV,HIV,Mycoplasmaなど多種の報告がある.

急性心筋炎の症候

若年者〜壮年者に多い.

1-2週間以内に急性上気道炎,インフルエンザ様症状,急性胃腸炎症状を認めることがあるが,この時点で心筋炎を疑うことは通常不可能である.しかし遅れて呼吸困難や胸痛などの胸部症状が出現すれば,心筋炎を鑑別にあげるべきである.

身体診察では低血圧,心拍数の異常,顔面の蒼白や四肢末梢の冷感を見落とさないことが重要である.心膜炎の合併により心膜

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