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10 たこつぼ心筋症

たこつぼ心筋症

急激なストレスにより大量にカテコラミンが放出された場合,カテコラミン受容体の多い心尖部の心筋は受容体のdown regulationを来す結果,動きが悪くなるため,心基部のみが動く“たこつぼ心筋症”が生じる.

高齢女性に多いが,いかなる年齢にも起こりうる.

broken heart syndromeと呼ばれるようにストレス下での発症状況が重要である.

症状は胸痛・呼吸困難が多く,1/4の症例で心不全に至るが,原則として可逆性かつ予後は良好で,再発も少ない.

心不全・肺水腫は23[0-46]%で生じるが,死亡率は1.1[0-7.7]%で,8-53日間で98.4%は完全に回復する.再発は2.8[0-15.4]%である〔Eur Heart J. 2006 Jul; 27(13): 1523-9〕.

たこつぼ心筋症の心電図・採血所見

おもに前胸部誘導でST上昇を認めることが多く,中にはreciprocal changeを伴い急性冠動脈症候群との鑑別が困難なこともある.

血流支配に従わない広範囲誘導でのダイナミックな変化をする巨大陰性T波と,急性期にはQT延長も見られることは心筋梗塞との鑑別上有用である.

CKやトロポニンの上昇を認めてもよいが,通常軽度でまずCK≧1,000IU/Lとはならない.

48時間以内に95%で巨大陰性T波を認めるとされるように〔N Engl J Med. 2005 Feb 10; 352(6): 539-48〕,心筋梗塞よりも早いタイミングでT波変化を来す.

QTcは平均で450-500msと延長〔Ann Intern Med. 2004 Dec 7; 141(11): 858-65〕するが,1-2日で改善する.逆にQT延長がない場合は心筋虚血を考える必要がある〔Am J Emerg Med. 2008 Jul; 26(6): 716-2

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