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12 ブルガダ症候群

Brugada型心電図

右脚ブロック型と右前胸部誘導でSTが上昇している心電図はBrugada型心電図といわれるが,これのみでは病的意義は乏しい.

右脚ブロック型は,通常の右脚ブロックで見られるようなV5などでの幅広いS波を認めないのが特徴である.

右側胸部誘導でST上昇が見られるが,type 1(上に凸なST上昇するcoved typeでJ波の高さ≧2mm)であるかどうかがBrugada症候群かどうかの判断に最も重要視される.

ST上昇はダイナミックに変化するため,必要に応じて1-2肋間を上げての心電図記録や,満腹(副交感神経亢進)時やIc群抗不整脈薬による誘発がtype 1心電図の検出に有用である.

Brugada型心電図の頻度・意義

▶総数31.6万人に及ぶ過去の報告からは日本人におけるBrugada型心電図の発生頻度は0.33[0.05-1.36]%である〔Sangyo Eiseigaku Zasshi. 2005 Jan; 47(1): 33-9〕.

▶中年の日本人に検診でBrugada型心電図が見つかっても全死亡率や心原性死亡率は高くならない〔Am J Cardiol. 2008 Sep 1; 102(5): 584-7〕.


Brugada型心電図の分類

▶Brugada型心電図全体から見ると死亡率に有意差なく〔J Am Coll Cardiol. 2001 Sep; 38(3): 771-4〕,予後推定にはtype 1の心電図であるか,あるいはtype 1の心電図を誘発することが重要.

type 1心電図の誘発

▶Ic群抗不整脈薬によって誘発されるtype 1(coved typeのST上昇)の心電図症例21例中7例で,負荷前の心電図はBrugada型心電図ではなく正常心電図であった〔診断と治療. 2006; 94: 1761-8〕.

▶薬剤で誘発されるtype 1

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