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14 大動脈解離

大動脈解離の疫学

大動脈解離は救急外来受診患者の0.1%と稀な疾患だが,初診時に正診できるのは1/3で,上行大動脈を病変に含むStanford A型であれば1時間で1%ずつ死亡するため,迅速で的確な診断が非常に重要である.

Stanford A型が多く,大動脈弓部〜下行大動脈に限局するStanford B型が20-30%とされる.

▶急性大動脈解離以外に2.3-11%で見られるpenetrating aortic ulcer(PAU)や,10-30%で見られるintramural hematoma(IMH)という概念を含め,急性大動脈症候群(acute aortic syndrome)という呼び名も提唱されている〔Mayo Clin Proc. 2009 May; 84(5): 465-81〕.


救急外来受診時に診断できたのは15-43%〔Mayo Clin Proc. 1993 Jul; 68(7): 642-51/Chest. 2000 May; 117(5): 1271-8/JAMA. 2002 May 1; 287(17): 2262-72〕で,24時間以上の診断の遅れはStanford B型では53%(Stanford A型では31%)と特に多い〔Ann Chir Gynaecol. 1986; 75(6): 328-32〕.

大動脈解離のリスク要因

50-70歳男性に多く,2/3の症例で高血圧の既往があり,喫煙もリスク要因である.

若年者では結合織異常,心血管系異常(大動脈二尖弁など),妊娠三半期,大血管炎がリスク要因として重要だが,心臓カテーテル検査などの医原性や外傷も忘れてはならない.

平均年齢63.1±14.0歳.Stanford A型では50-55歳,Stanford B型では60-70歳が多い〔JAMA. 2000 Feb 16; 283(7): 897-

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