腹部大動脈瘤(AAA)の大きさ
●腹部大動脈の直径が3.0cm以上であればAAAと定義とされることが多い.
●最も多い3cm台の大きさであれば,2-3年間は急激に増大することなく安全な可能性が高い.
●4.0cm以上あれば6(3-12)か月間隔で経過観察していく必要がある.
●5.0cm以上あれば年3%超の破裂のリスクがあり,手術が薦められる.
●AAAの自然歴
▶AAAは平均して2.2mm/年の速度で拡大する.喫煙者は0.4mm/年だけ拡大するのが速い.女性,喫煙者,高血圧患者は破裂リスクが高いため注意を要する〔Br J Surg. 2012 May; 99(5): 655-65〕.
▶35mm,40mm,45mm,50mmの直径のAAAに対して36か月,24か月,12か月,3か月後の経過観察で直径が55mmとなっているのは1%以下である〔Circulation. 2004 Jul 6; 110(1): 16-21〕.
●AAAの大きさと破裂率
▶無症候の4.0-5.4cm大のAAAでは手術しても総死亡率・AAA関連死亡率は改善しない〔N Engl J Med. 2002 May 9; 346(19): 1437-44〕ことから,海外では手術の目安は直径5.5cmとされるが,日本では体格の差からも5.0cm程度が目安とされている.
AAAのリスク要因
●高齢,男性,喫煙者が3大リスク要因である.
●大動脈瘤の中では腎動脈分岐部以下の腹部大動脈瘤(腎下部腹部大動脈瘤)が60%と最も多い.
AAAの身体所見
●肥満者でなければ手術適応のある大きさの腹部動脈瘤は触診で検出できることが多いが,身体所見での否定はできない.
▶κは0.53であり,比較的診察者の一致率は高い〔Arch Intern Med. 2000 Mar 27; 160(6): 833-6〕.
AAA破裂徴候
●腹痛・腰痛,拍動する腹部