慢性下肢動脈閉塞症
●慢性下肢動脈閉塞症では,閉塞性動脈硬化症(ASO)が多いが,Buerger病(閉塞性血栓血管炎;TAO)が鑑別にあがる.
●ASOは動脈硬化なので高齢・男性・高血圧・脂質異常症・糖尿病・虚血性心疾患・脳卒中・喫煙と関連がある.
●Buerger病は若年男性喫煙者に多く,小動脈を侵すため潰瘍が多く,遊走性静脈炎も見られる.
足関節/上肢血圧比(ABI)と症状
●ABI>1.0が正常である.
●冷感・しびれ感(FontaineⅠ度)は非特異的な症状である.
●間欠跛行(FontaineⅡ度)は慢性下肢動脈虚血に対して感度は低く,ABI≦0.8とならないと出現しがたい.
●安静時疼痛(Ⅲ度)や潰瘍(Ⅳ度)がある場合,ABI<0.5であることが多い.
●ABIはFontaine分類よりも足の機能を反映するが,著しい動脈硬化性病変や石灰化があれば,高度狭窄病変があってもABIは比較的高値に留まる.
●慢性下肢動脈閉塞症の診断
ASOの身体所見
●足背動脈・後脛骨動脈の脈拍欠損と,大腿動脈血管雑音が身体所見では最も重要である.
●足が非対称性に冷たいことや,足趾びらんの感度は低いが特異度が高い.
●venous refill time(下肢静脈が充満するまでの時間)≧20秒ならばABI<0.5である可能性が高い.
●視診・触診・聴診
▶下肢に跛行があっても脈拍が正常である場合は,運動後に脈拍が消失している場合が多い.
▶足背動脈は健常者でも3-14%で触れず,後脛動脈は0-10%で触れない.
●血行動態確認試験
●閉塞部位の推測
▶Buergerテスト:足を机から90°持ち上げ2分で異常蒼白となり,その後,足を垂直に2分間たらして爪先から広がる赤暗色潮紅が見られれば陽性と判定する.
ASOの検査
●下肢のSpO2測定はABIに匹敵するベッドサイドで可能な簡易検査となりうる.
●画像検査では造影MRA