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診断

3 高カルシウム血症・低カルシウム血症

高Ca血症の症状

低アルブミンの場合にはCa補正値=Ca+(4-Alb)の補正は必須であるが,さらに正確な判断のためにはイオン化Caの測定(血液ガスにて測定)が必要である.

血清Ca濃度が12mg/dLを超えると食欲低下・嘔気に始まり,口渇・多飲・多尿や便秘を来す.進行すると精神症状・意識障害を呈する.

高Ca血症が持続すると尿路結石を来し,これが初発症状であることもある.

それ以外には腎障害や消化性潰瘍,稀に膵炎を来しうる.

40%がAlbに結合し15%が陰イオンと結合しているため,イオン化Caは血清Caの45%を占める.

▶低Alb血症ではCa補正値=Ca+(4-Alb)で推定,蛋白量が増加している場合はCa補正値=Ca/(0.6+TP/19.4)で推定を行えるが,イオン化Ca測定と比較すると正確性は乏しい〔Crit Care Med. 2003 May; 31(5): 1389-93〕.

▶イオン化Ca(mmol/L)≒〔血清Ca値(mg/dL)-4〕÷4

高Ca血症の疫学

原発性副甲状腺機能亢進症と悪性疾患が2大疾患で,外来では前者,入院では後者がより多い.

Pが低ければ原発性副甲状腺機能亢進症,Albが低ければ悪性腫瘍の可能性が高くなる.

悪性腫瘍では肺扁平上皮癌・乳癌・多発性骨髄腫の他,九州・沖縄地方では成人T細胞性白血病/リンパ腫が多い.

腎不全・透析患者では高Ca血症は一般的で,ビタミンDやCaの投与が原因となる以外に,重症二次性副甲状腺機能亢進症,アルミニウム中毒が原因となりうる.


悪性腫瘍と診断されている患者の10-40%に高Ca血症は生じる.骨転移巣の有無にかかわらず生じ,転移の程度にも関連はない.80-90%がPTH関連蛋白(PTHrP)の産生に基づき,10-20%が局所的骨破壊によるとされる.

一般生化学検査による原発性副甲状腺機能亢進症と悪性腫瘍

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