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6 糖尿病性昏睡

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

1型糖尿病で多く,特に若年の糖尿病患者の死亡原因として重要である.

糖尿病性ケトアシドーシスの誘因としては,感染症を常に考える必要がある.

1型糖尿病では年間1-5%で糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を発症する.若年者に多く女性で2倍とされる〔Postgrad Med J. 2004 May; 80(943): 253-61〕.

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の症候

上気道症状と比較して倦怠感が強い感冒様症状,下痢がはっきりしない嘔吐や腹痛では糖尿病ケトアシドーシスを鑑別にあげる.

口渇・多飲・多尿があることが多い.

身体所見では軽微な意識障害や,呼吸数を含むバイタルサインの異常を見落とさないことが重要である.

ケトン臭は時として診断に有用であるが,判断が難しい.代謝性アシドーシスを補正するための深く速いKussmaul呼吸のほうが分かりやすい.

救急外来を受診して血糖≧250mg/dLの患者において,血糖≦400mg/dLで,収縮期血圧≧100mmHg,脈拍数≦90/分,呼吸数≦20/分ならば,糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧性非ケトン性昏睡の可能性は0-2%のみである〔Diabetes Res Clin Pract. 2010 Mar; 87(3): 366-71〕.

糖尿病ケトアシドーシスの検査

高血糖(≧250mg/dL)+ケトーシス(≧3mmol/L)+アシドーシス(pH≦7.30もしくはHCO3-≦15mEq/L)を満たさなければならない.

ケトーシスに対しては尿ケトンの感度が高く,スクリーニングに有用である.

アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシス(HCO3-<15mEq/L)で乳酸値が高くなければ確定的である.

アシドーシスの評価には静脈血の採血でもよい.

乳酸アシドーシスの合併があれば予後は不良である.

HC

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