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7 甲状腺結節・甲状腺癌

甲状腺結節と甲状腺癌

触知可能な甲状腺結節は人口の5%で認められ,うち5%が甲状腺癌である.

悪性腫瘍の中では乳頭癌が最も多く,成年女性に多い.

頸部リンパ節腫脹,早い腫瘍増大,周囲組織への固着,声帯麻痺,非常に硬い結節があれば悪性腫瘍と考える.

甲状腺エコーにて微小石灰化が見られたり,前後径>幅であれば悪性腫瘍を疑う.

直径1cm以上で微小石灰化がある場合,直径が1.5cm以上で粗大な石灰化を伴うか充実性である場合,囊胞性でも直径2cm以上で充実成分がある場合は針穿刺吸引細胞診を行う.

サイログロブリン高値は原発不明癌の検索に有用な可能性がある.

触知可能な甲状腺結節は4-7%で見られ,うち5%が悪性腫瘍である.また超音波検査を行えば19-67%と高頻度で甲状腺結節を認める〔Am Fam Physician. 2003 Feb 1; 67(3): 559-66〕.

甲状腺癌の頻度は超音波検査では0.5-1.3%,病理解剖では3.7-28.4%で認められるが,日本における臨床的に明らかな甲状腺癌の頻度は男性で2.0/10万人,女性で7.2/10万人である〔Nippon Rinsho. 2007 Nov; 65(11): 1953-8〕.


甲状腺悪性腫瘍の内訳

▶放射線曝露は15-25年後に年2%の割合で良性・悪性の結節を発生させ,特に乳頭癌との関連が強い.

▶家族歴は髄様癌で重要(多発性内分泌腫瘍症; MEN)であり,慢性甲状腺炎は悪性リンパ腫の発生に関与している.

孤立性甲状腺結節での悪性腫瘍の検出

甲状腺エコー

▶結節の数〔J Clin Endocrinol Metab. 2006 Sep; 91(9): 3411-7〕や,結節の大きさ〔J Clin Endocrinol Metab. 2008 Jun; 93(6): 2188-93〕は癌の予測にあまり有用ではない.

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