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9 甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺腫を伴う甲状腺機能低下症では橋本病が圧倒的に多い.

昆布・海苔,ヨード卵,イソジンガーグル®でのヨード過剰摂取による甲状腺機能低下症の報告例もあり,これらは原因物質の摂取中止後1-2か月で改善する.

アミオダロンはヨード含有量が多いため甲状腺機能異常を伴うことがある.またリチウムやインターフェロンα,インターロイキン2製剤は甲状腺自己抗体を誘発するため甲状腺機能低下症を来すことが知られている.

ネフローゼ症候群では甲状腺ホルモンの尿中排泄のために甲状腺機能低下症となることがある〔Lancet. 1991 Aug 24; 338(8765): 475-6〕.

甲状腺機能低下症の症候

軽症患者も含めると単一で有用な指標はない.

新陳代謝低下による症状としては倦怠感を主訴に来院することが多いが,病歴では動作緩慢,物忘れ,寒がり,発汗減少,乾燥肌,便秘,月経過多,筋肉痛を,身体所見では徐脈,無気力様顔貌,眉毛外側1/3の脱落,深部腱反射回復相遅延を確認する.

ムチン沈着による体重増加やむくみも主訴となることが多いが,ムチン沈着による他の症状としては嗄声や難聴,手指のしびれ(手根管症候群)がある.身体所見では巨舌やnon-pitting edemaが重要である.

深部腱反射回復相遅延,発汗減少,乾燥肌,粗雑で分厚い皮膚,冷たい皮膚,むくみ,体重増加,異常感覚,便秘,動作緩慢,嗄声,難聴,55歳以下の女性の13項目のうち,6項目あれば96.9%で甲状腺機能低下症(感度62%,特異度99%)である.2項目以下であれば94.2%で甲状腺機能は正常(感度94%,特異度61%)である〔J Clin Endocrinol Metab. 1997 Mar; 82(3): 771-6〕.

カロチン血症による皮膚の黄染も見られうる.

軽症例(TSH>5を定義)を含

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