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11 亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は他の甲状腺疾患と同様に,若年女性に多い.

男女比1:3.5-6.7

亜急性甲状腺炎の病歴

発熱と甲状腺の自発痛を高頻度に認める.

疼痛は頸部だけではなく耳や顎への放散痛を中心に訴えることもある.

疼痛は対側へ移動することもあり,これは特徴的とされる.

甲状腺腫大のため頸部腫脹や嚥下障害を訴えることもあるが,甲状腺機能亢進症状(発汗・振戦・暑がり・軟便)は目立たないことが多い.

上気道感染に遅れて発症することもあるが,先行感染症状は確認できないことのほうが多い.

亜急性甲状腺炎の身体所見

甲状腺の圧痛はほとんどの症例で見られる最も重要な所見であり,「咽頭痛」を訴える患者には甲状腺も触診する必要性がある.

甲状腺圧痛も甲状腺腫大も認めなければ亜急性甲状腺炎は否定的である.

疼痛は平均65日,触診異常は平均84日で消失する.触診異常は両側性(69%)であることが多いが,16%の症例では片側性でかつ限局している〔West J Med. 1991 Jul; 155: 61-3〕.

亜急性甲状腺炎の検査

白血球増多は軽微であるが,顕著な赤沈亢進(>50mm/時)を認めるのが典型的である.

甲状腺機能の亢進(ほぼ全例で見られる)は1-2か月後に正常化するが,発症後半年で一過性の甲状腺機能低下を来しうる.

化膿性甲状腺炎や慢性甲状腺炎・Basedow病との鑑別には甲状腺エコーと甲状腺自己抗体の測定が参考になるが,それでも鑑別に苦慮する場合はシンチグラフィが有用である.

NSAIDsを数日投与して改善がなければ,PSL20-40mg/日を1-2日投与し、疼痛が改善すれば診断的価値がある.

亜急性甲状腺炎でも抗サイログロブリン抗体は20%で,抗TPO抗体は4%で陽性となる〔J Endocrinol Invest. 2007 Jul-Aug; 30(7): 546

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