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13 クッシング症候群

Cushing症候群の徴候

Cushing症候群で最も頻度の高い徴候は満月様顔貌や肥満であるが,いわゆる中心性肥満であり,四肢の皮下脂肪が少なく,赤色皮膚線条や皮下出血もよく見られることが単なる肥満患者やメタボリック症候群と異なる.

肥満・無月経・多毛症が見られることから多囊胞卵巣症候群との鑑別も重要である.

四肢近位筋の筋力低下や萎縮,精神症状,骨粗鬆症は合併症として重要である.

副腎偶発腫瘍における検索では,これらの徴候を伴わないpreclinical Cushing症候群の発見率が最近増えているが臨床的意義は未だ確立していない.

ホルモン非産生副腎腫瘍58例とCushing症候群8例の比較(n数が少ないため感度や特異度が100%と記載のある部分は解釈に注意を要する)

皮下組織が断裂を起こしたものが皮膚線条であるが,Cushing症候群では皮膚・皮下組織が萎縮するために,皮下の毛細血管が透けて見える状態が長時間持続し,赤色の腹部皮膚線条が見られることが特徴である.

Cushing症候群では多囊胞卵巣症候群の合併はよく見られる〔Clin Endocrinol(Oxf). 2000 Oct; 53(4): 493-500〕.そのため,月経異常があれば性ホルモン異常〔黄体化ホルモン(LH)高値,卵胞刺激ホルモン(FSH)正常〕や,超音波検査で卵巣の多数の囊胞状変化がないかを確認しなければならない.なお,多囊胞卵巣症候群においてアンドロゲンの分泌過剰症は病態の中核をなす重要な所見であるが,欧米人に比べ日本人では頻度が低いため,日本産科婦人科学会による多囊胞卵巣症候群の診断基準必須項目には入っていない.

精神的ストレス(うつ病),身体的ストレス,アルコール依存症ではコルチゾール値が一般的に高値になる傾向があり,偽性Cushing症候群とも称されるが,近位筋の筋力低下,皮下出血

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