診療支援
診断

14 褐色細胞腫

褐色細胞腫の臨床所見

高血圧に頭痛,動悸,発汗発作の3徴候が揃えば褐色細胞腫を強く疑う.

甲状腺機能亢進症と似た症状をとることもあるが,発作的であること,便秘傾向であること,末梢血管が収縮している(手指は温かくなく起立性低血圧もよく認める)ことが異なる.

生活習慣病(高血圧・脂質異常症・高血糖)をもちながらやせ型であれば積極的に考える.

頭痛,動悸あるいは発汗を伴う持続的もしくは発作的な高血圧は褐色細胞腫の95%で見られる〔J Clin Hypertens(Greenwich). 2002 Jan-Feb; 4(1): 62-72〕.


褐色細胞腫の診断(本態性高血圧との比較)

褐色細胞腫の35.6%で糖尿病を合併している.本態性高血圧患者と比較して糖尿病の合併はOR=5.5(3.5-8.7)で,51歳以下でBMI<25kg/m2であることはOR=18.9(5.9-58.8)で褐色細胞腫を示唆する〔J Hypertens. 2003 Sep; 21(9): 1703-7〕.

褐色細胞腫の臨床検査

尿メタネフリン分画と尿カテコラミン分画の検査を行い,基準値の2倍以上あれば褐色細胞腫の可能性がかなり高い.

偽陽性を減らすためにバナナ・柑橘類・バニラ含有のお菓子などの摂取と過剰な運動を避けてもらう必要がある.

スポット尿でも信頼性は高いので,必ずしも蓄尿は必要ではない.

採血検査・採尿検査

▶血漿メタネフリンが最も優れた検査だが日本では測定することができない.日本で測定できるものの中では尿中メタネフリン分画と,尿中カテコラミン(特に分画)が診断特性に優れるようである.

▶尿中ホモバニリン酸(25.3%),尿中5-HIAA(2.2%)は感度が低く有用性は乏しい〔Ann Surg. 2006 Jan; 243(1): 102-7〕.

▶褐色細胞腫では血液検査値も尿検査値も平均すると基準値上

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?