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15 副腎不全

原発性副腎不全の原因

原発性副腎不全では自己免疫性が多く,結核性が続く.それ以外には転移性腫瘍や副腎出血によるものを考える.

結核性副腎不全は結核に罹患後長い期間を経てから副腎不全を発症しうる.副腎腫大や石灰化があれば特徴的である.

実際の臨床ではステロイド投与による医原性副腎不全の頻度が最も高いかもしれない.

副腎不全は10万人に5-14人の頻度とされる〔Am Fam Physician. 2007 Mar 1; 75(5): 667-70〕.

▶他の原因としては,アミロイドーシス,サルコイドーシス,ヘモクロマトーシスや,播種性真菌感染,AIDS患者におけるCMV感染,梅毒ゴム腫などもある.

結核性副腎不全では結核罹患の32±15年後に副腎不全を発症する.結核性の場合は副腎石灰化もしくは腫大を78.6%で認める(副腎石灰化は67.9%,副腎腫大は60.9%)が,特発性ではいずれも0%である〔Intern Med. 1994 Oct; 33(10): 602-6〕.

副腎不全を来すステロイド投与量に関しては明確な基準はなく,プレドニゾロン7.5mg/日を12週間では副腎抑制はあまりないとの報告もあるが〔Arthritis Rheum. 2006 May; 54(5): 1415-21〕,生理的分泌量であるプレドニゾロン5mg/日を超えると副腎不全は生じうる.

ステロイド中止後あるいは副腎腺腫摘出後最大1年間までは副腎機能の回復が十分ではなく,ストレスにさらされることで副腎不全を発症する可能性がある.

副腎白質ジストロフィーは男児に起こる小児型が最も多いが,10代後半〜成人において緩徐に進行する痙性対麻痺で発症する副腎脊髄神経障害(adrenomyeloneuropathy)や,成人の認知症が急速に進行する成人大脳型などの病型もある.診断には血中極長鎖脂肪酸の測定が必要である

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