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16 骨粗鬆症

骨粗鬆症の症候

高齢女性では非常に頻度が高い疾患である.

身長減高,猫背進行,残存歯<20本ならば骨粗鬆症の可能性を考える.

骨密度は30歳代でピークである.しばらくプラトーが続き,その後は年に1%ずつ低下するとされる.閉経後5-10年では倍のスピードで骨を失い,皮質骨の10-15%,海綿骨の25-30%を失う.

骨粗鬆症の予測

脊椎骨折のリスク

骨折の既往や家族歴がある場合,高齢,早期閉経,喫煙,飲酒,糖尿病などの慢性疾患や転倒のリスクがある場合は骨折の危険性が高い.

骨折のリスク

▶糖尿病は異化亢進や高血糖によるカルシウム利尿・骨基質劣化などが関与し骨粗鬆症のリスクと考えられている.また,チアゾリジン系薬物は骨密度を減少させ骨折を増やすことが示唆されている〔J Clin Endocrinol Metab. 2010 Feb; 95(2): 592-600〕.

▶アルコール依存症や糖尿病は骨粗鬆症を来すのみでなく,転倒のリスクが高いことからも骨折の頻度が高い.

無症候性椎体骨折の身体所見

壁を背面に立位となったときに後頭部が壁から離れれば脊椎骨折を疑う.

脊椎骨折の60-70%は不顕性骨折である.

無症候性椎体骨折の検出

骨密度測定

骨密度測定では若年成人骨密度YAMの80%(T scoreで-1.0)未満を骨量減少,YAMの70%(T scoreで-2.5)未満を骨粗鬆症と定義する.

骨折のリスクが高い場合は骨密度測定が今後の骨折のリスク評価に有用である.

骨密度の測定部位としては,股関節と腰椎の2か所を測定するのが望ましい.

T scoreは若年成人骨密度YAMと,Z scoreは患者の年齢平均骨密度との比較を示す指標である.

骨量が正常ならば高齢者でも骨折のリスクはさほど高くない.骨密度が骨量低下程度でもリスクはさほど高くならないが,骨粗鬆症となると骨折のリスクがか

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