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1 血尿

血尿

蛋白尿も顕微鏡的血尿も一般人口の数%で見られるが,特に女性の顕微鏡的血尿は1割程度と高頻度で認められる.

肉眼的血尿を見た場合は着色尿(大黄,リファンピシン,ビリルビン,ポルフィリン)との鑑別に尿潜血反応の確認を行う.

尿潜血反応が陽性の場合はミオグロビン尿やヘモグロビン尿との鑑別に尿沈渣を確認する.

顕微鏡的血尿の頻度

▶尿蛋白や血尿は尿糖(0.6%)や尿ケトン陽性(0.4-0.5%)と比較して高頻度に認められる所見である〔Clin Chem. 1987 Nov; 33(11): 2106-8〕.

▶血尿が女性で高頻度なのは若年女性では月経のため偽陽性が多く,高齢女性では膀胱炎が多いことが一因と考えられる.

尿潜血と尿沈渣の乖離

▶血尿の定義は尿沈渣で赤血球>4/HPFである.尿潜血と尿沈渣との関連は大まかにいうと尿潜血の1+,2+,3+が尿沈渣での赤血球数が1桁,2桁,3桁に相当するが,これが成り立たない場合もある.

▶尿潜血陽性,尿沈渣で赤血球が陰性の場合

□臨床的にはミオグロビン尿とヘモグロビン尿が重要である.両者の迅速な鑑別にはCK高値があればミオグロビン尿,放置した血液検体の上澄みが赤ければヘモグロビン尿と判断する.

□それ以外には古い尿や尿比重≦1.005での膀胱内溶血や過酸化物(消毒薬)混入による尿潜血偽陽性が知られている.

▶尿潜血陰性,尿沈渣陽性の場合

□高比重尿,粘液成分高度,大量のビタミンC,尿pH<5.1の場合には尿潜血反応の偽陰性が生じうる.

血尿の原因

血尿の4大原因は悪性腫瘍,尿路結石,尿路感染,糸球体腎炎であるが,稀に出血傾向による血尿が見られる.

肉眼的血尿が見られた場合は糸球体腎炎の可能性は下がり,それ以外の疾患の可能性が上がる.

腎機能障害や腎形態的異常がなければ若年者の一過性血尿の病的意義は必ずしも大きくないが,持続的な血尿であれば糸球体腎

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