診療支援
診断

2 蛋白尿・ネフローゼ症候群

蛋白尿

蛋白尿は検診の数%で見出される頻度の高い異常である.

早朝尿による尿検査再検で蛋白尿が消失していれば,起立性蛋白尿やそれ以外の一過性蛋白尿と考えられ,病的意義は乏しい.

持続的蛋白尿は糸球体障害を示唆することが多いが,尿細管再吸収障害(β2-ミクログロブリン)や溢流性尿蛋白(β2-ミクログロブリン,Bence Jones蛋白)の可能性も考える必要がある.

蛋白尿は腎予後の予測因子として重要である.

スクリーニング検査にて蛋白尿は男性4.9%,女性3.9%で認められる〔Clin Chem. 1987 Nov; 33(11): 2106-8〕.起立性蛋白尿は成人の数%で見られるが体位性の腎静脈の圧迫などによる影響と考えられており病的意義はない.17%は20年後も継続するが腎機能予後は良好である〔Ann Intern Med. 1982 Oct; 97(4): 516-9〕.起立性蛋白尿以外には高熱・心不全・高血圧・運動などで一過性尿蛋白が出現しうる.


糸球体腎炎のうち,尿検診異常で発見されるものが半数を占める.

▶慢性腎炎症候群:蛋白尿・血尿の一方か両者を持続的に認め,高血圧や浮腫を呈しながら緩徐に腎機能低下を来す疾患群

▶急性腎炎症候群:急性の経過で血尿,蛋白尿,腎機能障害,浮腫,高血圧を呈する症候群

▶急速進行性糸球体腎炎:数週から数か月の経過で急性あるいは潜在性に発症する血尿・蛋白尿・貧血を伴い,急速に進行し腎不全に至る予後不良な腎炎症候群

腎予後予測因子としての蛋白尿

蛋白尿の程度

糖尿病では300mg/日の蛋白尿があれば顕性蛋白尿とみなす.

蛋白尿≧1.0g/日もしくは血尿を伴う蛋白尿≧500mg/日であれば腎疾患である可能性が高い.

尿定性にて尿蛋白(1+)であれば顕性蛋白尿であることが多く,尿蛋白(3+)であればネフローゼ症候群を考える.

尿定性法では微量Al

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