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5 慢性腎不全

慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD)とは蛋白尿などの腎臓の障害,もしくは糸球体濾過量(GFR)<60mL/分/1.73m2の腎機能低下が3か月以上持続するものである.

慢性腎臓病は成人の2割近くで見られるとの報告もあるが,末期腎不全のみならず独立した心血管系疾患の発症リスク要因として重要である.

慢性腎不全の原因

透析導入となるのは糖尿病性腎症,慢性糸球体腎炎,腎硬化症で8割近くを占める.

糖尿病性腎症は5年以上の糖尿病罹患期間,糖尿病患者における0.5g/日以上の持続蛋白尿の病歴,糖尿病性網膜症の存在,あるいは腎不全の割に腎萎縮が比較的軽度であれば疑う.腎症発症後に血糖コントロールがよくなるため同時に高血糖がなくても否定はできない.

慢性糸球体腎炎は,若年期からの蛋白尿がある場合,血尿やそれ以外の腎炎所見(赤血球円柱,顆粒円柱)がある場合に疑う.特に若年者ではIgA腎症,中年以降は膜性腎症によるものが多い.

腎硬化症は高齢者に多く,高血圧の既往があり蛋白尿が見られることが多いが,過去の血圧や尿所見が不明の場合は糸球体腎炎との鑑別は困難であること多い.

腎に複数のコブがある場合や,乳頭石灰化が見られる場合はNSAID腎症を考える.

既往歴:腎疾患,糖尿病,高血圧やそれ以外の動脈硬化疾患,尿路感染症,妊娠高血圧症候群を確認する.

▶1型糖尿病では,糸球体高血圧・糸球体過剰濾過状態が5年持続した後に微量アルブミン尿,さらに5-10年で顕性蛋白尿,さらに腎症発症後5-10年で末期腎不全となるが,2型糖尿病では進行はより早いとされる.糖尿病性網膜症を認めなければ糖尿病性腎症の可能性は低いと考えられる.

家族歴:腎疾患の家族歴があればAlport症候群,囊胞性腎疾患,家族性腎炎,Fabry病を考える.

薬剤歴:鎮痛薬が最も重要であるが,ビタミンD製剤・Ca製剤,抗菌薬,ACE阻害薬/A

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