診療支援
診断

6 尿路感染症

細菌尿と尿路感染症

無症候性細菌尿は就学前児童・妊婦・泌尿器科的処置前以外では治療対象とならないため,症状がなければ尿路感染症とは見なさない.

無症候性細菌尿や尿路感染症は50歳未満では女性が男性の30倍ほどの頻度であり,若年男性の尿路感染では(包茎を含む)尿路系の解剖学的な異常を考えねばならない.

高齢者では男女を問わず細菌尿の頻度は高い.

導尿や尿道カテーテル留置を継続している場合は細菌尿を認めることのほうが多い.細菌尿≠尿路感染症ではあるが,尿路感染症のリスクは確実に上がるので安易な尿道カテーテル挿入は厳に控えたい.

尿路感染症は全院内感染症の30%,院内感染敗血症の5-10%を占めるとされる.

導尿や尿道カテーテル留置と細菌尿

▶導尿1回で1-5%の細菌尿のリスクが生じ,カテーテル留置は1日あたり3-10%の細菌尿のリスクになるとされる.

▶尿道カテーテル留置による細菌尿の90%以上は無症状であるが〔Arch Intern Med. 2000 Mar 13; 160(5): 678-82〕,院内発症の尿路感染症の80%がカテーテル関連とされる.

▶尿道カテーテル挿入の明確な医学的適応がない場合,カテーテルを挿入された患者は挿入されなかった患者より院内死亡率が高い(6.6%対1.5%)ことが報告されている〔J Am Geriatr Soc. 2007 Feb; 55: 227-33〕.

MEMO purple urine bag syndrome

長期尿道カテーテル留置を行うと,8-17%で尿バッグが紫色に呈色するpurple urine bag syndromeが生じる〔Clin Nephrol. 2011 Jun; 75(6): 557-9〕.

便秘があると腸管内でのindole産生が増加し,これが肝臓でindoxyl sulphateとなり腎から排出されて,膀胱内で細

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?