残尿
●高齢者では高頻度に残尿を認める.
●健常者では残尿はほとんどないが,残尿がおおよそ100mLを超えると尿路感染のリスクとなりえ,500mLを超えると水腎症・腎後性腎不全のリスクとなる.
●頻度
●残尿量と病的意義
▶残尿が180mL以上だと膿尿は増える〔J Urol. 2008 Jul; 180(1): 182-5〕ため,高齢者の再発性尿路感染症では50-100mL以上の残尿を可逆性リスク要因として考えるべきであるとされる.
▶一方,残尿>100mLと尿路感染症の関連は乏しいとの報告もあり,全例で残尿のチェックや加療を要するわけではない.
残尿量推定
●身体所見では排尿努力後に恥骨上聴性打診で濁音界が6-7cm以上あれば病的な残尿を疑う.
●腹部エコーで縦(cm)×横(cm)×高さ(cm)÷2=推定膀胱容量(mL)であるが,正確には導尿による測定が必要である.
●恥骨上聴性打診は恥骨の頭側に聴診器を当て,その頭側を聴診器に近づけつつ軽く打診し,急に音が大きくなるところで膀胱上縁を推定する方法である.聴診器の直径を覚えておくと定規がなくても簡単に膀胱容量の推測ができるが,誤差が大きい身体所見ではある.
●エコーでは膀胱容量は縦×横×高さ÷2が最も簡便な推測式.
▶球体の体積=4/3×πr3であり,楕円体体積は4/3×π×r×r’×r”≒4×r×r’×r”=R×R’×R”÷2となる.
▶ただしエコーでの膀胱容量推定は実際には誤差が大きい〔J Urol. 1997 Jul; 158(1): 59-61〕ためあくまで推測にすぎない.
●随時膀胱容量≧残尿であり,尿意を訴えられない患者では残尿を過大評価しないようにしたい.
尿閉の原因
●急性の尿閉は高齢男性に多い.
●末梢神経障害による神経因性膀胱(感覚性無緊張性膀胱)と,前立腺肥大症による下部尿路閉塞が2大原因だが,腰痛や下肢神経障害があれば仙髄〜
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/ジスチグミン臭化物《ウブレチド》
- 治療薬マニュアル2024/ベタネコール塩化物《ベサコリン》
- 治療薬マニュアル2023/シロドシン《ユリーフ》
- 治療薬マニュアル2024/シロドシン《ユリーフ》
- 治療薬マニュアル2023/タムスロシン塩酸塩《ハルナール》
- 治療薬マニュアル2024/タムスロシン塩酸塩《ハルナール》
- 治療薬マニュアル2023/ナフトピジル《フリバス》
- 治療薬マニュアル2024/ナフトピジル《フリバス》
- 治療薬マニュアル2024/ウラピジル《エブランチル》
- 治療薬マニュアル2024/ドキサゾシンメシル酸塩《カルデナリン》
- 治療薬マニュアル2023/デュタステリド《アボルブ》
- 治療薬マニュアル2024/デュタステリド《アボルブ》
- 今日の診断指針 第8版/前立腺肥大症
- 今日の診断指針 第8版/尿失禁
- 今日の治療指針2023年版/過活動膀胱
- 今日の診断指針 第8版/過活動膀胱
- 今日の治療指針2023年版/前立腺肥大症
- 今日の小児治療指針 第17版/膀胱直腸機能障害