前立腺癌の疫学
●食生活の欧米化に伴ってか日本における前立腺癌は増加中であり主要な悪性腫瘍の1つである.
●50歳から罹患率は増加し,高齢者に多い.
●家族歴があれば,リスクはさらに高くなる.
●日本では男性の年齢調整罹患率は,胃癌,肺癌,結腸癌.肝臓癌,直腸癌に次いで6番目に高く,増加傾向である.
●日本と欧米における前立腺癌罹患率の違い
▶前立腺癌の年齢調整罹患率は日本と比較して北米が11倍,西ヨーロッパは4.7倍である〔CA Cancer J Clin. 1999 Jan-Feb; 49(1): 33-64〕.
▶潜在癌の頻度は人種間でそれほど大きな違いがないが,臨床癌の頻度には大きな違いがある.日本人とハワイ・米国在住の日本人とでは前立腺癌罹患率に差がある〔J Natl Cancer Inst. 1993 Oct 6; 85(19): 1571-9〕ことから,欧米の食生活はリスク要因であると考えられている.
●第一度近親者に前立腺癌患者が1人いる場合,前立腺癌に罹患する危険率は2倍である.第一度近親者に2人以上の前立腺癌患者がいる場合は前立腺癌に罹患する危険率は5-11倍とされる〔Prostate. 1990; 17(4): 337-47〕.
前立腺癌の症候
●中高年男性で,泌尿器症状(尿閉・頻尿・残尿感・夜間尿)を呈した患者では必ず前立腺癌を念頭におくが,無症候性であることが圧倒的に多い.
●臨床的に排尿症状を有して外来を受診した症例における前立腺癌の発見率は6.7%との報告がある〔Prostate. 1994 Sep; 25(3): 132-40〕.
●前立腺癌の臨床所見
▶前立腺癌が神経浸潤すればインポテンツが出現しうるが前立腺癌の発見契機となることは少ないと考えられる.
●前立腺癌は外腺(辺縁領域)に,前立腺肥大は内腺(移行領域)に起こりやすい.そのため前立腺癌では前立腺肥大症と比
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