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12 急性精巣痛

急性精巣痛の疫学

急性精巣(睾丸)痛は精索捻転,精巣上体炎,精巣垂捻転が3大原因である.

精索捻転は新生児と思春期に発症のピークがある.

精巣上体炎はいかなる年齢でも発症することがあり,成人では最も多い精巣痛の原因である.

精巣垂捻転は小児に多く成人では稀である.

▶精索捻転は思春期に多く65%は12-18歳であるが〔Br Med J(Clin Res Ed). 1987 Jun 27; 294(6588): 1680〕,243例中47人(19%)は21歳以上との報告もある〔Br Med J(Clin Res Ed). 1987 Jul 25; 295(6592): 269〕.

□精索捻転が思春期に多いのは精巣の急速な増大と勃起に伴う精巣挙筋収縮(peno-cremasteric reflex)が関与している.

▶精巣垂捻転の80%の患者は7-14歳〔Br J Hosp Med. 1994 Mar 16-Apr 5; 51(6): 290-2〕であり,成人では稀である.


その他の原因として血管炎(結節性多発動脈炎,Wegener肉芽腫症,Henoch-Schönlein紫斑病)でも精巣痛は見られる〔Urology. 2011 May; 77(5): 1043-8〕.精巣腫瘍,腹部大動脈瘤破裂も精巣痛で発症しうる〔Br J Surg. 1991 Jul; 78(7): 886-7〕.

急性精巣痛の病歴

精索捻転は急な激しい疼痛で発症し嘔吐を伴うことがよくある.

精巣上体炎は発症が緩徐である.尿路感染のリスクを有する場合はこれをまず疑う.

これらは精巣痛を伴わずに下腹部痛として発症することもある.

精巣はT10-11支配(陰囊はL1,S1-2)であり,精索捻転患者の11-13%は下腹部痛のみで精巣痛を訴えない〔Br J Surg. 1976 Jun; 63(6): 465-76

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