診療支援
診断

1 関節炎

関節痛の鑑別

関節の痛みは関節内,関節外,放散痛に分類する.

関節に発赤・腫脹・熱感・圧痛・機能障害があれば関節炎と考える.

朝の30分以上続くこわばりや,動かしていると改善する関節痛も関節炎を示唆し,特に関節リウマチでよく見られる.

関節痛を来す好発疾患

関節の痛みを訴える場合に,関節可動域制限があり関節裂隙全周に沿った圧痛があれば関節の問題であることが多い.一方,局所的な圧痛しかない場合,関節の動かす方向によっては疼痛を誘発しない場合,能動的な運動に比べ他動的には関節可動域制限が少ない場合は関節外(靱帯,腱・腱付着部,筋,皮下組織など)の原因である可能性が高い.また痛みを訴える部位を診察しても炎症所見や圧痛がない場合は放散痛を考える.

単関節炎

急性単関節炎では感染性(化膿性と淋菌性),結晶性(痛風と偽痛風),外傷性の3つが重要である.

化膿性関節炎を見落とさないために可能な限り穿刺を行うのがよい.

穿刺液は白血球数が最も簡便な指標で炎症性>2,000/μL,化膿性>5万/μLが目安である.

急性関節炎の繰り返しは結晶性関節炎が最も多い.

関節液に結晶が証明されても5%に化膿性関節炎を合併するため〔J Rheumatol. 2012 Jan; 39(1): 157-60〕,必ず培養も行う.

外傷歴がある場合や分単位の急激発症は外傷性関節炎・関節血腫を考える.

間欠的な発作を繰り返す場合は,結晶性関節炎と回帰性リウマチ(数時間〜1週間の小関節に多い単〜少関節炎で予後は良好であるが一部は関節リウマチへ移行する)を考える.

慢性単関節痛では変形性関節症が多いが,外傷後,結核性関節炎,脊椎関節炎,無腐性骨壊死,サルコイドーシス,早期の関節リウマチもありうる.

多発関節炎

ウイルスによる一過性の多発関節炎(B型肝炎,HIV,風疹,ムンプスウイルス,パルボウイルス)は通常6週間以内

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?