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2 化膿性関節炎

化膿性関節炎の病歴・身体所見

免疫抑制状態や関節自体に問題(関節リウマチや人工関節があれば10倍のリスク)がある場合に,局所からの感染もしくは菌血症からの細菌の波及があると化膿性関節炎が起こりやすい.これらのリスクを全く認めないのは1/4の症例のみである.

化膿性関節炎を考える場合には,感染性心内膜炎による血行性感染も念頭におく必要がある.

罹患関節は膝関節が半数以上で,股関節,それ以外の大・中関節が続く.15%の症例では複数の関節が罹患する.

頻度は2-10/10万人年程度とされる.

化膿性関節炎の診断

罹患関節

化膿性関節炎の検査所見

関節液の白血球数≧5万/μLであれば化膿性関節炎の可能性が高い.

関節液の白血球数<2万/μL,関節液の糖>血糖×2/3は化膿性関節炎の可能性を下げることができる.

関節液グラム染色は半数で陽性となり,陽性ならば確定的である.

関節液の培養は血液培養ボトルに入れると感度が上がるが,抗菌薬投与が先行した場合は陰性となりうる.

血液培養は半数で陽性となり,血行性感染を示唆する所見とされる.

起因菌は黄色ブドウ球菌が半数で,連鎖球菌やグラム陰性桿菌が続く.

化膿性関節炎の診断

▶X線写真は初期には変化が乏しいが,基礎疾患としての関節の状態把握には役立つ.


起因菌

▶インフルエンザ桿菌は5歳未満では46%を占める起因菌だが,5歳以上では稀である〔Ann Rheum Dis. 1999 Apr; 58(4): 214-9〕.

▶培養が困難なBrucellaKingiellaなどの報告例がある他に,抗菌薬に不応性で亜急性の関節炎では結核も考える必要がある〔Rheumatology(Oxford). 2005 Dec; 44(12): 1559-63〕.

淋菌性関節炎

米国では青年〜壮年の単関節炎では淋菌性関節炎が最も多い原因とされる.

SLEはリス

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