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1 貧血の診断

貧血の定義,高頻度の原因疾患

男性はHb 13.0g/dL,女性はHb 12.0g/dL,妊婦と高齢者はHb 11.0g/dLがおおよその貧血の判定基準である.

喫煙者,運動選手や高地住人では,貧血の基準を高めに設定する必要がある.

貧血は生殖可能年齢の女性の鉄欠乏性貧血と,高齢者の貧血が多い.

高齢者の貧血では鉄・ビタミンB12・葉酸欠乏が1/3,腎機能障害や慢性疾患に伴う貧血などが1/3,それ以外の貧血が1/3を占める.

骨髄異形成症候群は高齢者では比較的よく見られる貧血の原因で,白血球減少や血小板減少,血球の形態的異常があれば疑われる.MCV高値やLDH高値,RDW開大も参考となる.

高齢者の貧血

▶アンドロゲン産生低下〔Arch Intern Med. 2006 Jul 10; 166(13): 1380-8〕,腎機能低下,エリスロポエチン感受性低下,骨髄機能低下などの機序で若年者と比較してHbが1g/dL程度は低下しうる.

▶65歳以上では男性の11.0%がHb<13g/dL,高齢女性の10.2%でHb<12g/dLとなり貧血の定義を満たす.85歳以上では20%が貧血と判定されるが,Hbが11.0g/dL未満となるのは男性では1.6%,女性では2.8%のみである〔Blood. 2004 Oct 15; 104(8): 2263-8〕.

原因のはっきりしない貧血(Hb<12g/dL),血小板減少(<15万/μL),白血球減少(<4,000/μL)のいずれかを呈する患者において,①65歳以上,②MCV>96fl,③RDW(red cell distribution width)>14.5%,④LDH>250IU/L(正常上限)はMDSやAMLの予測因子であり,0項目ならば骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病の可能性は12%だが,1項目で27%,2項目で41%,3-4項目

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