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診断

2 貧血の鑑別

一般血算による貧血の鑑別

血小板増多があれば鉄欠乏性貧血と慢性炎症を考える.

MCVが80fl未満の小球性貧血とMCVが100flを超える大球性貧血はそれだけで鑑別診断が絞られる.

一方,正球性貧血には種々の原因があるが,大球性貧血と小球性貧血が混在しているためにMCVが正常範囲におさまっている場合もありうる.後者では特にRDWの開大が著明となる.

鉄欠乏性貧血では血小板数は平均49.9万/μL(おおよそ健常者の倍)となる〔Intern Med. 2005 Oct; 44(10): 1025-6〕.

MCVによる分類は非常に有用ではあるが,絶対的なものではない.例えば鉄欠乏性貧血(フェリチン<15ng/mL)でMCV<80flとなるのは48%で残りは正球性貧血を呈し〔J Gen Intern Med. 1990 May-Jun; 5(3): 187-91〕,巨赤芽球性貧血で大球性貧血(MCV≧99-102)となるのは77%である〔Scand J Clin Lab Invest. 2000 Feb; 60(1): 9-18〕.

RDW(red cell distribution width)は赤血球の大きさが不均一であることを示す指標である.鉄欠乏性貧血や巨赤芽球性貧血で開大し,慢性疾患に伴う貧血やアルコール性肝障害,再生不良性貧血などでは開大しない.

貧血の機序による鑑別

特に正球性貧血では網状赤血球と溶血所見(ハプトグロビン低下)から貧血の機序を4つに分類すると鑑別が容易となる.

RPI≒Ret(%)×(Ht)2÷2,000>1ならば網状赤血球増多と判断する.

急激な貧血進行は出血もしくは溶血と考えるが,入院後の1割程度のHb低下は輸液や臥位による血管内水分量の増加でも説明可能である.

網状赤血球と溶血所見(ハプトグロビン低下)による貧血の原因分類

溶血所見としてはハプト

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