診療支援
診断

3 小球性貧血

小球性貧血の原因

鉄欠乏性貧血が最も多く,慢性疾患に伴う貧血,サラセミアが続く.

鉄欠乏性貧血の病歴・身体所見

異食症,restless leg症候群,舌乳頭萎縮,口角炎は鉄欠乏性貧血にしばしば合併する.

嚥下障害があればPlummer-Vinson症候群や食道癌を考える.

青色強膜は鉄欠乏性貧血の診断に有用である.

匙状爪があれば鉄欠乏性貧血を疑うが,診断特性についてはよく分かっていない.

異食症(氷や土壁を食するのが有名)は鉄欠乏性貧血の5-58%で見られる〔S Afr Med J. 2007 Nov; 97(11): 1069-71〕.

restless leg症候群はチロシンヒドロキシラーゼの補酵素である鉄が欠乏し,ドパミンが減少することで起こる.

Plummer-Vinson症候群は鉄欠乏性貧血に食道のwebと嚥下困難を合併した症候群であるが,現在では極めて稀である.

▶口角炎・舌乳頭萎縮などは現在でもよく見られる粘膜傷害で,turn-overの早い消化管粘膜細胞に必要な鉄依存性酵素の活性低下により起こる.

▶Plummer-Vinson症候群は3-15%で咽頭〜食道癌を合併することから現在でも重要な疾患概念である〔Orphanet J Rare Dis. 2006 Sep 15; 1: 36〕.

青色強膜はコラーゲン合成障害による眼球強膜の透光性亢進により生じる.

▶偽性偽性副甲状腺機能低下症の15%,Marfan症候群の3%,ホモシスチン尿症の5%,骨形成不全症,Ehlers-Danlos症候群でも見られる.

匙状爪

▶爪が脆くなり指腹からの圧力で爪が変形することによって起こるため,爪の脆さのほうが感度は高く,匙状爪は鉄欠乏性貧血の4%程度でしか認められない.

▶鉄欠乏状態以外にはヘモクロマトーシス,Raynaud病,強皮症,SLE,外傷,遺伝性,nail-patella

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?