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診断

4 大球性貧血

大球性貧血の原因

MCV≧130flであればほぼ全例で巨赤芽球性貧血である.

MCV<120flであればアルコールなどによる肝疾患の可能性が最も高い.骨髄疾患,網状赤血球増多,薬剤も遭遇する頻度が高い原因である.

骨髄疾患の中では高齢者の骨髄異形成症候群が最も一般的である.

DNA合成障害

▶巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏,葉酸欠乏)

▶薬剤(抗癌剤,メトトレキサート,抗HIV薬,ST合剤,サルファ剤,抗痙攣薬,硝酸薬,メトホルミン)

骨髄疾患

▶骨髄異形成症候群(MDS)

▶急性骨髄性白血病(赤白血病),LGL白血病

▶鉄芽球性貧血(後天性,MDSの1つ)

▶再生不良性貧血

網状赤血球が増加:溶血性貧血,急性失血後

▶網状赤血球のMCVは112[103-126]fl〔Blood. 1995 Feb 1; 85(3): 818-23〕であり,MCVが120flを超えることは稀.

脂質異常

▶肝疾患(アルコール性肝障害では肝障害以外の機序もあり特に顕著とされる)

▶甲状腺機能低下症では慢性疾患に伴う貧血(ACD)のため正球性〜小球性貧血となることが多い〔Endocr J. 2012; 59(3): 213-20〕.そのため大球性貧血を認めた場合は橋本病に悪性貧血を合併した可能性を疑う.

検査異常

▶高血糖・高Na血症:測定前に等張液に赤血球を入れるため膨張し大球性となってしまう.

▶寒冷凝集素症,多発性骨髄腫:赤血球凝集により大球性と計測されるが,MCHCが高値となることが特徴.

MCHCは通常上昇しないが,遺伝性球状赤血球症と血球凝集では異常高値となる.

高齢者の大球性貧血では骨髄異形成症候群が多いことに注意する.

大球性貧血の採血検査

汎血球減少があれば巨赤芽球性貧血を含む血液疾患と肝硬変を考える.

LDH高値で網状赤血球増加がなければ巨赤芽球性貧血の可能性が高い.

末梢血のスメアの観察

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