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5 血管内悪性リンパ腫

血管内悪性リンパ腫

悪性リンパ腫の中でも腫瘤形成を来さない血管内悪性リンパ腫(intravascular lymphoma;IVL)は診断が非常に困難である.

発熱を伴う脳虚血症候,皮疹を伴う不明熱,肝脾腫を伴う不明熱,血球貪食症候群,発熱を伴う肺塞栓様呼吸不全がよく知られたIVLのパターンである.

LDH高値は簡便で比較的鋭敏な検査である.

平均70[34-90]歳.男女差なし.

悪性リンパ腫の0.1%がIVLである.大型のB細胞性リンパ腫が多い.

91%はB細胞系のマーカー表現で,T細胞系は9%のみ〔Oncologist. 2006 May; 11(5): 496-502〕.

▶中枢神経型IVLでは頭部MRIにて小血管虚血や脱髄所見が得られる.髄液検査ではリンパ球数増多を認めることが多い.

▶皮膚所見は四肢近位・下腹部・乳房下部に多い.

▶日本では特に血球貪食症候群と関連が多く報告されておりAsian variantと呼ばれる.

末梢の肺動脈塞栓・肺高血圧を来し,発熱・呼吸不全にて受診することもありうるが,胸部X線やCTの所見は乏しく血流シンチグラフィでは末梢型肺塞栓と似た所見が得られる〔West J Med. 1991 Jul; 155(1): 72-6./Chest. 1989 Nov; 96(5): 1199-200〕.

悪性リンパ腫とsIL-2R

sIL-2R≧3,000U/Lであれば悪性リンパ腫の可能性が高いとは考えられるが,あくまで参考所見である.

sIL-2R高値となる疾患

▶sIL-2Rはリンパ球が活性化している疾患であれば高値となるため,結核,膠原病,血球貪食症候群,Still病,川崎病,肺線維症などでも3,000U/Lまではしばしば見られる.

▶肝細胞癌では7,026U/Lまで報告あり〔Ann Surg Oncol. 1999 Mar; 6(2): 178-8

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