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6 多発性骨髄腫

多発性骨髄腫の疫学

多発性骨髄腫は50歳以上に多い.

臓器障害(高Ca血症,溶骨性病変,貧血,腎障害)があり,M蛋白(血清もしくは尿中)が検出され,形質細胞の増加(骨髄中のモノクローナルな形質細胞増加もしくは形質細胞腫)を認めれば症候性の多発性骨髄腫と診断され,化学療法の適応となる.

多発性骨髄腫は10万人あたり5-7人で見られる〔Am Fam Physician. 2008 Oct 1; 78(7): 853-9〕.

悪性疾患の1%,血液系悪性疾患の13%を占める〔N Engl J Med. 2011 Mar 17; 364(11): 1046-60〕.

近年は多発性骨髄腫の34%が症候(高Ca血症,溶骨性病変,貧血,腎障害)を呈さない状態で発見される〔Eur J Cancer. 1991; 27(11): 1401-5〕.無症候性の多発性骨髄腫は治療を開始せずに密な経過観察を行う.

多発性骨髄腫の症候・検査所見

1年以内に発症の腰痛や貧血,腎機能障害が診断のきっかけとなることが多い.

末梢神経障害を認めた場合はアミロイドーシスの合併もしくはPOEMS症候群を考える.

多発性骨髄腫では高Ca血症を認めても高ALP血症は認めず,骨シンチグラフィでも陽性とならない.

画像所見にて溶骨性変化を認めれば特徴的である.

血清アルブミンとβ2-ミクログロブリンの値は予後の推測に有用である.

多発性骨髄腫の症候・検査所見

▶骨痛(特に腰痛)は診断時に58%(軽度が29%,中等度20%,重度が9%)で認めるが,1年以内の発症が91%で,半年以内の発症が73%である.

▶倦怠感(典型的には貧血によるもの)は1年以内の発症が96%で,半年以内の発症が90%である.

多発性骨髄腫のInternational Staging System

MEMO POEMS症候群

単クローン性形質細胞増殖(M

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