伝染性単核球症(IM)の原因
●伝染性単核球症は思春期にEBウイルス(EBV)によって起こることが多いが,中高年ではサイトメガロウイルス(CMV)によるものが多い.
●稀ではあるが急性HIV感染は見逃してはならない疾患であり,粘膜皮膚潰瘍,発熱48-72時間後の皮疹,下痢を伴えば特に疑う.
●EBVによる伝染性単核球症は15-30歳に多く,咽頭炎の5-10%を占めるとされる.
▶思春期までに80-90%が無症候性〜非特異的症状にて罹患する.10%で思春期に初感染し4-6週間の潜伏期を経て伝染性単核球症を発症する.
▶唾液中のウイルスによる伝播からkissing diseaseとして知られる.
●CMVによるIMはEBVよりも平均年齢が10歳ほど上で,高齢発症もある.
●それ以外の伝染性単核球症の原因としてはToxoplasma,HHV-6,HHV-7,HIV,アデノウイルス,風疹ウイルス,単純ヘルペスウイルス(HSV)がある.
▶Toxoplasmaは熱とリンパ節腫脹が優位で咽頭炎や肝障害は来さず,血液学的な異常も認めない.稀な疾患であるので妊婦や免疫不全状態でなければ考えなくてよい〔Br J Gen Pract. 1991 Sep; 41(350): 375-6〕.
伝染性単核球症の病歴
●発熱,咽頭痛,リンパ節腫脹にて発症することが多く,頭痛や筋肉痛,咳,鼻汁もよく見られる.
●感冒と比較して倦怠感が強く,症状持続期間も長い.
●中高年ではリンパ節腫脹や咽頭痛が目立たず,急性肝炎として発症することが多い.
●EBVはすべての臓器を侵しうるとされ,非特異的な徴候もとりうる.例えば肺炎や胸膜炎,心筋炎,腹膜炎,膵炎,腸間膜リンパ節炎,筋炎,急性腎不全・糸球体腎炎,胃偽性リンパ腫,性器潰瘍,血液学的異常(溶血性貧血,血小板減少症)の報告がある.神経症状も有名で,Guillain-Barré症候群