診療支援
診断

4 麻疹・風疹

麻疹

感染率が高く,不顕性感染は極めて少ないことから流行歴が重要である.ワクチン接種歴や罹患歴も参考になる.

咳を中心とするカタル期は数日間続くが,この時期の診断には結膜炎とKoplik斑が重要である.

二相性の発熱とともに出現する発疹は顔面から始まり下行していく癒合傾向のある小丘斑疹で,色素沈着や落屑を残し治癒していく.手掌・足底に皮疹を認めることも特徴的な点である.

採血では肝障害や白血球減少が見られることもあるが,白血球増多があれば細菌感染の合併を考える.

修飾麻疹は不完全な免疫状態における感染で起こり,非典型的な症状を呈しうる.

麻疹の臨床診断をしたら,特異的IgM抗体の測定と遺伝子検査を行う.

ワクチン接種歴・麻疹罹患歴

▶生後12か月でのワクチン接種は予防効果があると思われる抗体価を90-95%で獲得する〔Biologicals. 1995 Mar; 23(1): 95-106〕.

▶5%の症例ではワクチン接種後10-15年で有効な抗体価を喪失する〔Pediatr Infect Dis J. 1996 Jan; 15(1): 62-6〕.

典型的な経過

1.潜伏期は10-12日

2.カタル期:上気道症状(高熱,咳,鼻汁,咽頭痛)で発症

▶上気道症状に結膜炎を伴えば麻疹や咽頭結膜熱,川崎病を考える.

3.Koplik斑

▶口腔頬粘膜の小さな白斑で周囲に発赤を伴う.

▶発疹が出現する前後2日間のみに見られる.

▶比較的特異的な所見とされるが,エコーウイルス感染症での報告例もある〔N Y State J Med. 1987 Dec; 87(12): 667〕.

▶鵞口瘡はこすると発赤や出血を残し剝がれ落ちることから鑑別が可能である.

▶Fordyce斑は異所性脂腺で1-2mmの黄白色丘疹の集簇であり,色が異なる.

4.発疹期

▶いったん解熱するが,発症から3-4日後に再度高熱とともに発疹が出

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?