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7 免疫抑制患者での肺感染症

免疫抑制患者での肺感染症の画像診断

胸部X線が正常であっても肺炎は否定できず,CT検査が必要なこともある.

consolidationであれば細菌感染を第一に考えるが,小葉中心性陰影,リンパ節腫脹,空洞形成がある場合は肺結核を念頭におく.

多数の小粒状陰影がランダムに分布していれば血行性散布する粟粒結核を第一に考える.

少数の結節性陰影が見られれば細菌や真菌の感染を考える.halo signは侵襲型アスペルギルス症に特徴的である.

すりガラス陰影が目立ち,気管支血管束の肥厚がなければニューモシスチス肺炎やサイトメガロウイルス肺炎を考える.通常,ニューモシスチス肺炎は両側性であり,モザイクパターンや,上肺野あるいは肺内層優位であれば典型的である.サイトメガロウイルス肺炎は小結節陰影を伴うことも多い.

腫瘍性病変,肺水腫,肺胞出血,薬剤性肺炎,器質化肺炎は感染性肺炎との鑑別が難しいことがある.

好中球減少者の発熱では胸部CTは胸部X線よりも平均5日間病変を早く検出できる.胸部X線が正常でも好中球減少者の発熱では1週間で31%が肺炎と判明する〔AJR Am J Roentgenol. 1997 Nov; 169(5): 1347-53〕.


免疫抑制患者での肺野病変の鑑別

非AIDS免疫抑制患者における,HRCT所見の頻度(%)

▶reversed halo sign:すりガラス陰影が2 mm以上の厚さをもった壁(consolidation)で3/4周以上囲まれている所見.器質化肺炎(COP)で多く認められるが,壁や内部のすりガラス陰影に結節を認める場合は肉芽腫性疾患(結核,クリプトコッカス,パラコクシジオイデス症などの感染症含む)を強く疑う〔Chest. 2012 May; 141(5): 1260-6〕.

侵襲型アスペルギルス症

▶好中球減少者におけるアスペルギルス症(n

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