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診断

1 喀血

喀血と吐血との鑑別

泡沫状の血液やアルカリ性の血液,呼吸器症状がある場合は喀血と考える.

喀痰全体が血性であれば下気道からの出血を考えるが,喀痰に線状の血液が付着している場合は上気道からの出血の可能性が高い.

喀血と吐血の鑑別

▶大量喀血では喀血した血液が咽頭に溜まり,それを嘔吐するように吐き出すので吐血と間違えることがあるが,呼吸状態が悪いことが鑑別点である.ただし高齢者や意識状態が悪い場合は吐血でも誤嚥して呼吸状態が悪いこともある.この場合は胃洗浄にてある程度鑑別が可能である.

▶それ以外には後鼻腔からの鼻出血を喀血と誤ることもある.

喀血の原因疾患

気管支拡張症が最も多い原因である.

肺癌と肺結核が見逃してはならない2大疾患である.

急性疾患では血管系疾患(肺塞栓,胸部大動脈瘤破裂,小〜中血管炎)や肺胞出血が見逃すと致死的な疾患であり重要である.

かつては喀血の原因の22%が結核とされたが〔Dis Chest. 1948 Nov-Dec; 14(6): 824-42〕,現在では頻度は低くなっている.しかしながら日本では欧米に比べて結核が多いため,現在でも喀血の10%程度が結核ともされる.

血管系疾患として肺動静脈瘻,肺塞栓症,胸部大動脈瘤破裂,Wegener肉芽腫症,多発性結節性動脈炎などが喀血の原因となりうる.またGoodpasture症候群も肺胞出血を来すが,Goodpasture症候群は血尿よりも肺胞出血が先行することが多いので血尿がなくても否定はできない.

喀血の検査

胸部単純X線写真と喀痰抗酸菌培養・細胞診を行い,その結果に応じて胸部CTや気管支鏡などを追加する.

止血困難な場合には気管支動脈造影・塞栓術を考慮する.

気管支鏡やCTを行う前に,胸部X線と細胞診を行い,その結果に従って精査を決めるのが効率がよい〔Chest. 1997 Apr; 111(4):

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