遷延性咳嗽,慢性咳嗽
●咳嗽が3-8週間継続するものを遷延性咳嗽,8週間以上継続するものを慢性咳嗽と定義する.
●喫煙者ではsmoker’s coughと肺癌などの鑑別のためまずは禁煙させる必要がある.
●一過性の発熱・咽頭痛・鼻汁で始まる遷延性咳嗽では感染後咳嗽を考えるが,百日咳,後鼻漏や咳喘息の可能性も検討する必要がある.
●喫煙者とACE阻害薬内服者を除く慢性咳嗽患者において,胸部単純X線写真が正常であれば後鼻漏,咳喘息,胃食道逆流症がほとんどの原因を占める.
●喫煙者では肺癌による咳嗽と,喀痰が多い場合は慢性気管支炎を念頭におく必要性があるが,圧倒的に多いのは喫煙の刺激によるsmoker’s coughである.
●慢性咳嗽の原因
▶3週間以上継続する咳嗽患者において,胸部単純X線写真が正常であれば93.6%は後鼻漏,咳喘息,胃食道逆流症のいずれかが原因である〔Chest. 1999 Aug; 116(2): 279-84〕.
▶喫煙者とACE阻害薬内服者を除く慢性咳嗽患者において,胸部単純X線写真が正常であれば99.4%は後鼻漏,咳喘息,胃食道逆流症のいずれかが原因である〔Arch Intern Med. 1996 May 13; 156(9): 997-1003〕.
▶鼻症状があれば後鼻漏を,咳が食事に関連があったり胸やけがあれば胃食道逆流症を,夜間に目立つ咳(夜間は副交感神経優位となる)があれば咳喘息を考える〔Zhonghua Jie He He Hu Xi Za Zhi. 2009 Jun; 32(6): 418-21〕.
□夜間咳嗽は咳喘息だけではなく胃食道逆流症にも特徴的ではあるが,胃食道逆流症では胸やけ・胃酸逆流感のほうが高頻度に認められる〔Ann R Coll Surg Engl. 1989 Mar; 71(2): 117-9〕.また就寝後2-3時間で起こる夜間咳嗽では