市中肺炎の病歴
●一般外来における急性咳嗽の5%が肺炎による.
●喘息患者の咳や呼吸困難は気管支喘息の1症状であることが多いが,発熱がある場合や難治性の喘息発作では肺炎合併を除外する必要がある.
●急性の発熱と咳嗽で受診した患者の場合,鼻汁と咽頭痛を伴えば急性上気道炎の可能性が高く,胸痛や呼吸困難を伴えば肺炎の可能性が高い.
●悪寒戦慄,寝汗や食欲低下を伴う場合も肺炎の可能性が高くなるが,3日以内に収束傾向であれば肺炎の可能性は低い.
●咳で受診した患者の5(1-13)%が肺炎で,全身状態が不良であれば10%が肺炎で,咳に加え発熱,頻脈,cracklesがあれば32-60%で肺炎であったという報告がある〔Ann Intern Med. 2003 Jan 21; 138(2): 109-18〕.
●肺炎の診断
市中肺炎の身体所見
●一般外来において,体温・心拍数・呼吸数(+SpO2)のバイタルサインが正常であれば肺炎の可能性は1%のみである.
●肺野の聴診ではcrackles以外にも呼吸音左右差と気管支呼吸音の増強にも注意を払う.
●高齢者の肺底部で深吸気時に聴取するlate inspiratory cracklesは肺炎を示唆しないことが多いが,片側性にholo inspiratory cracklesを聴取すれば肺炎の可能性が非常に高い.
●バイタルサインによる肺炎の診断
▶救急外来で呼吸器症状(咳・胸痛・呼吸困難のいずれか)がある場合の肺炎の予測
●胸部理学所見による肺炎の診断
▶ヤギ音や打診での異常所見の特異度は高いが感度は低い.
▶呼吸音が減弱し打診が濁音の場合は,大葉性肺炎であることが多い.声音振盪は亢進することが多いが,声音振盪が低下している場合は胸水貯留もしくは閉塞性肺炎の可能性がある.
●crackles
▶pan-inspiratory cracklesは肺胞病変,early-t