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10 誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎

口腔内の細菌を誤嚥する誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)と,胃液の誤嚥による無菌性の誤嚥性肺臓炎(aspiration pneumonitis)の2種類がある.

誤嚥性肺炎は嚥下障害や胃運動低下のある高齢者に多いが,誤嚥性肺臓炎は薬物中毒や術後などで意識レベルが低下した状態で嘔吐すると起こりやすい.

誤嚥性肺炎では一般の細菌性肺炎の起因菌に加え,腸内細菌群が重要な起因菌であり,他には嫌気性菌やブドウ球菌が関与しうる.

誤嚥性肺臓炎の多くは重症化せず抗菌薬も必須ではないが,重症化すると死亡率が高い(Mendelson症候群)

誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎

誤嚥性肺炎の起因菌

▶経口摂取している高齢者の7.5%,胃瘻栄養している44%,経鼻胃管栄養している71%でグラム陰性桿菌が口腔内に常在する〔Antimicrob Agents Chemother. 2005 Aug; 49(8): 3566-8〕.

▶嫌気性菌の関与は稀であるという報告もある〔Chest. 1999 Jan; 115(1): 178-83〕.


誤嚥性肺臓炎

▶pH≦2.5の胃内容物を0.3mL/kg以上誤嚥するのが発症の目安である〔N Engl J Med. 2001 Mar 1; 344(9): 665-71〕.

▶誤嚥を来しうる状態から2時間経過しても徴候が出現しなければその後に呼吸状態が増悪することはない〔Anesthesiology. 1993 Jan; 78(1): 56-62〕.

▶重症例では肺胞内と肺胞間質に血漿が滲み出すため,数時間で循環血漿量減少・血液濃縮・ショックに陥る.細菌感染の合併がなければ24時間程度で呼吸機能増悪はピークを迎え,その後は徐々に改善する〔Ann Surg. 1970 Jan; 171(1): 73-6〕.

▶胸部X線はおおよそ4-7

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