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11 膿胸・肺炎随伴胸水

胸腔内に肉眼的な膿を認めるか,胸水のグラム染色で細菌が認められる場合に膿胸と考える.

膿胸の原因

肺炎・肺化膿症からの波及が多いが,横隔膜下からの感染波及(肝膿瘍,横隔膜下膿瘍など),食道穿孔などによる膿胸も考える必要がある.

無菌性膿胸では関節リウマチも考える.

膿胸の起因菌

起因菌は口腔内のグラム陽性球菌,グラム陰性桿菌,嫌気性菌が多く,誤嚥性肺炎の起因菌と類似する.

胸水検査・胸腔ドレナージ

肺炎随伴胸水ではドレナージを要する複雑性肺炎随伴胸水の見極めが重要である.

胸水の量が胸腔の1/2以上あれば持続ドレナージを要することが多い.

肉眼的膿胸やグラム染色で細菌が陽性,胸水pH<7.00-7.20,胸水中の糖<40mg/dLのいずれかがあればドレーン留置が必要である.

胸水pHが低くても胸水アミラーゼや糖が高ければ食道破裂を考える.

市中肺炎の20-57%に胸水を認めるが〔Chest. 1978 Aug; 74(2): 170-3〕,そのうち10%が胸腔ドレナージなど外科的治療を要する複雑性肺炎随伴胸水である.膿胸は胸腔内に膿が貯留した状態と定義されており,複雑性肺炎随伴胸水のさらに一部が膿胸となる.


胸水量と複雑性肺炎随伴胸水

▶肺炎随伴胸水は側臥位正面像にて厚さ1cmまでの量なら内科的加療で十分に反応するので,穿刺は一般的に不要と考えられている〔Am J Med. 1980 Oct; 69(4): 507-12〕.

▶胸水の量(立位胸部X線写真にて鏡面像の高さで判断)とドレナージ必要性の診断

□片側の胸腔の1/2を超える胸水量や多房性の場合,部分的に肥厚した胸膜を認める場合はドレナージの適応とされる〔Chest. 2000 Oct; 118(4): 1158-71〕.


胸水検査と複雑性肺炎随伴胸水

▶pH(AUC=0.92)がLDH(AUC=0.84)や糖(AUC=0.

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