原発性自然気胸
●10代後半〜20代のやせ型男性に多い.
●喫煙はリスク要因であり,30%で起こる再発を禁煙により減らすことができる.
●原発性自然気胸の疫学
▶88%が男性で,十代後半〜20歳代での発症が多い.
▶自然気胸患者のKaup指数〔√10×体重(kg)÷身長(cm)×100〕は男性で13.78,女性で13.76であり,健常者比較の14.59,14.60よりも低い〔Jpn J Med. 1983 Jan; 22(1): 2-8〕のでやせ型に多いといえる.
●再発
▶再発は30%であるが,胸腔鏡下手術(VATS)や開胸術ではそれぞれ4%,1.5%まで再発率を下げることができる〔Eur Respir J. 1997 Jun; 10(6): 1372-9〕.
▶禁煙は再発率を70%から40%にするという報告もある〔Thorax. 1997 Sep; 52(9): 805-9〕.
続発性自然気胸
●原因疾患としては肺気腫が多いが,肺悪性腫瘍を除外する必要がある.
●稀ではあるが女性では月経関連気胸(胸郭子宮内膜症)の可能性も考える.
●HIV患者ではニューモシスチス肺炎(PcP)を考える.
▶細菌性肺炎でも気胸は起こりうるが,感染症の中ではHIV患者におけるニューモシスチス肺炎(PcP)に続発する気胸が有名である〔Chest. 1990 Aug; 98(2): 266-70〕.
▶月経関連気胸
□子宮内膜症の2%が胸部に発症し,うち80%が気胸として発症,20%が喀血で発症する.骨盤内子宮内膜症の合併は20%とされる.
□16-40歳女性の月経開始後48-72時間以内に多い.右側が90-95%と圧倒的に多い〔Chest. 1990 Sep; 98(3): 713-6〕.
気胸の症候
●主訴は胸痛であることが一番多く,呼吸困難,咳が続く.
●身体所見では片側の呼吸音低下と打診上の鼓音が最もよく見られる徴