特発性縦隔気腫の疫学

●特発性縦隔気腫は自然気胸と類似し，やせ型の若年男性に多い．

●予後は非常に良好である．

●頻度

▶入院12,850人中1例の頻度〔Thorax. 1983 May; 38（5）: 383-5〕．

▶救急外来では29,670人中1例〔Chest. 2005 Nov; 128（5）: 3298-302〕〜44,511人中1例〔Eur J Cardiothorac Surg. 2007 Jun; 31（6）: 1110-4〕の頻度．

●特発性縦隔気腫の疫学

▶縦隔気腫の原因による患者層の違い

図

▶34％に喫煙歴を認めた〔Eur J Cardiothorac Surg. 2007 Jun; 31（6）: 1110-4〕という報告もある．

●予後は良好であり，入院はおろかX線写真のフォローなども不要との意見もある〔Ann Emerg Med. 1992 Oct; 21（10）: 1222-7〕．

特発性縦隔気腫の誘因

●胸腔内圧が上昇するような労作，咳，嘔吐が発症の誘因となることが6割を占める．

●嘔吐後の発症では特発性食道破裂（Boerhaave症候群）との鑑別が重要である．

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●基礎疾患

▶呼吸器症状が強ければ，喘息や気胸の合併などを考える．

▶糖尿病性ケトアシドーシスや神経因性食思不振症では嘔吐の際の胸腔内圧上昇と栄養障害のためか縦隔気腫を生じやすい．

▶海外では報告が多いエクスタシー（MDMA）乱用による縦隔気腫は運動量過剰・胸腔内圧上昇が機序と考えられている〔Ann R Coll Surg Engl 2007; 89: 389-93〕．また吸入薬剤使用が76％で見られたとの報告もある〔Ann Emerg Med. 1992 Oct; 21（10）: 1222-7〕．

▶皮膚筋炎〔Ann Rheum Dis. 2000 May; 59（5）: 372-6〕や，歯科処置後〔Ann Eme