胸水の原因疾患
●大量胸水ならば悪性疾患,肺炎随伴胸水・膿胸,結核が原因であることが多い.
●漏出性胸水は左心不全,肝硬変,ネフローゼ症候群,低栄養の4つが多く,胸水の特殊検査や胸膜生検などの検査は必要としない.
●滲出性胸水は細菌感染症,結核,悪性疾患が3大疾患だが鑑別は多い.
●甲状腺機能低下症や肺塞栓症は漏出性胸水,滲出性胸水のどちらも取りうる.
●漏出性胸水
▶心不全では左胸腔は心拍動にてリンパ還流が促進されるため右に胸水が貯留しやすいとされるが〔Am J Med. 1957 Jan; 22(1): 83-9〕,左右いずれに優位に貯留してもよい.
□胸水は肺動脈圧と肺動脈楔入圧には関連あるが右房圧には関連なく〔Am Rev Respir Dis. 1985 Dec; 132(6): 1253-6〕,純粋な右心不全で胸水が貯留するのは稀である〔Chest. 1987 Dec; 92(6): 967-70〕.
▶肝硬変症では横隔膜の小さな欠損から腹水が胸腔の陰圧で吸い上げられることにより5-10%で胸水を呈する.胸水は右が85%,左13%,両側2%と右側に多い.胸水の性状はほぼ腹水と同じだが濃縮傾向がある〔Aliment Pharmacol Ther. 2004 Aug 1; 20(3): 271-9〕.
□腹膜透析でも同様のメカニズムで右に胸水がたまることが2%である〔Am J Nephrol. 1989; 9(5): 363-7〕.
▶尿胸は外傷や水腎などがある場合に疑う.蛋白は0.06-0.7g/dLと低いが,LDHは58-2,475U/L,糖は0-172mg/dL,pHは7.00-7.50と多様である.診断には胸水Cr/血清Cr>1(平均は9.15[1.09-19.8])が有用である〔Respiration. 2004 Sep-Oct; 71(5): 533-6〕.
●甲状腺機