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18 悪性腫瘍による胸水

悪性腫瘍による胸水

肺癌,乳癌,リンパ腫,卵巣癌,胃癌によるものが多い.

悪性腫瘍による胸水の特徴

悪性腫瘍の既往があり片側性胸水貯留を認めれば,違うと分かるまでは悪性腫瘍による胸水を疑う.

慢性経過,体重減少を伴う場合,大量胸水,血性胸水であれば可能性は高くなるが,発熱を伴っていれば可能性は下がる.

胸水貯留患者における癌性胸水の診断

胸水の腫瘍マーカー

胸部に明らかな腫瘤がなければCEAが有用である.CYFRA21-1やCA15-3を加えて測定してもよい.

原発性肺癌の鑑別であれば,CEAとProGRP,CYFRA21-1の組み合わせがよい.

胸水中腫瘍マーカーによる悪性疾患による胸水の鑑別

▶メタ解析ではCEA〔感度45.9(43.2-48.5)%,特異度97.0(96.0-97.8)%〕と,CYFRA 21-1〔47.3(44.0-50.6)%,91.8(89.5-93.7)%〕の診断特性は同等である〔J Clin Lab Anal. 2007; 21(6): 398-405〕.

▶メタ解析ではCYFRA 21-1(感度55%,特異度91%),CA 15-3(51%,96%),CA 19-9(25%,96%),CA125(48%,85%)のうち前2者がより有用である〔Thorax. 2008 Jan; 63(1): 35-41〕.

▶カットオフ値については,CEAは3-50ng/mL,CYFRAは8-175ng/mLと報告はさまざまである〔Chest. 2005 Oct; 128(4): 2298-303〕.

▶非悪性胸水のうち9%でCEA>10ng/mLとなる〔特に膿胸(100%),複雑性肺炎随伴胸水(50%)をはじめとして,結核,膵炎,肝硬変など〕〔Chest. 1997 Mar; 111(3): 643-7〕.

▶CA125は単なる漿膜刺激のマーカーといえる.

胸水

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